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除雪・雪害対策に用いられるAIについて

AIによる除雪や雪害対策の取り組みが進んでいます。どんな内容なのか、実証実験やメリットも含めてご紹介します。

AIを用いた除雪車の実証実験

NTTコミュニケーションズ株式会社がAIを活用し、除雪業務の効率化や、住民サービスの向上に関する取り組みを2022年2月4日からスタートさせました。積雪量の多いエリアが対象で、除雪車の車載カメラを使って映像データを収集し、AIを使って積雪状況の分析や可視化する実証実験です。

現地の積雪状況はどうなっているのか、リアルタイムで可視化したプラットフォームを地図上に表示できます。

山形県の米沢市と高畑町で実施されていますが、どちらも特別豪雪地帯指定を受けている地域です。そもそも山形県全体が豪雪地帯のため毎年、住民たちは除雪に追われています。生活だけではなく経済的な損失も大きいことが背景にあるのです。積雪状況はどうか、リアルタイム、しかも見える化できることは、対象エリアの情報把握を助けます。

さらに危険度が増している場合、現地情報をいち早く把握できれば、除雪車のスピーディな手配につながるのです。以降も実証実験の成果による積雪アラート機能の追加開発も計画に入っています。

参照元HP:アットプレス|AIを活用した除雪業務の効率化、住民サービス向上に向けた実証実験を開始(https://www.atpress.ne.jp/news/296541)

AI・ICT活用で交通障害解消を目指す

大雪による大規模な交通障害の問題

大雪により大規模な交通障害が発生すると多くの車が立ち往生する自体となります。たとえば2021年1月には、北陸自動車道福井区間で、約1,600台の車両の立ち往生が起きています。解消されるまで60時間かかっており、その間、5人が救急搬送されました。単純に移動の遅延だけで終わるのではなく、下手をすると健康被害が発生するリスクが高まるのです。

AIで立ち往生が発生する地点を自動検知

2021年から国道交通省は、道路の監視カメラの画像解析のためのクラウドにAIを搭載しました。車両の速度データを読み取ることで、立ち往生になりそうな現場の自動検知を行います。雪による立ち往生の迅速な予測ができれば、除雪車の手配も早くなり大きな被害を食い止めることが期待できるのです。

準天頂衛星を使った除雪車の自律走行

北海道では東日本高速道路で自律走行できる除雪車の実証実験が行われています。準天頂衛星の高精度位置情報を活用した取り組みで、道路に沿って除雪車の正確な走行を目指しているのです。他にも道路外へ雪を飛ばす操作の自動化も行っています。実現すれば除雪作業員の人手不足解消が期待できるでしょう。また、福井県では除雪車にGPSを搭載し、除雪した道路をパソコン上で可視化できるサービスを2021年にスタートさせています。除雪が済んでいない道路の侵入防止に役立てているのです。

参照元HP:読売新聞 防災ニッポン+|雪害対策にAIやICT活用… 車の「立ち往生」早期解消目指す(https://www.bosai.yomiuri.co.jp/biz/article/8833)

ロードヒーティングシステムと連動でコスト削減

人力での除雪の負担減少が急務

豪雪地帯では、毎年、人力での雪かきが行われています。公共施設や商業施設ではブルドーザーによる除雪作業が行われていますが、コスト面での問題が指摘されているのです。問題解消の1つとして、北海道大学と北海道ガスが共同研究し「AIロードヒーティングオプティマイザー」を開発しました。AIが道の積雪状況を判断してロードヒーティングを行い、融雪の最適化をするものです。

融雪を自動化できるシステム

温水式の融雪は、ボイラーで沸かした湯を使って路面を暖める仕組みです。AIロードヒーティングオプティマイザーは、AIが路面の積雪状況を画像認識して判断します。雪があればボイラーをオンにして、溶ければオフにするというシンプルさですが、自動化されるため人の負担は減少するのです。

エネルギーと燃料費の無駄づかいが減る

融雪装置自体はすでにありましたが、路面の雪の有無までは判断できませんでした。雪が降っていると感知すればボイラーが動きますが、路面に雪がなくても稼働するため、余分なエネルギーのロスが課題でした。

AIロードヒーティングオプティマイザーは、従来の降雪センサーでは限界があった、「ボイラーを止める」という点の精度を高めることに成功しています、実証実験では、最大50%以上のエネルギー削減に成功しました。

参照元HP:サイエンスポータル|解決!賢く融雪してエネルギーコストを半減(https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20200716_g01/)

人を検出し作業を行える自動除雪機

一般的な除雪作業は夜間です。運転手以外に1人が除雪機の前を歩いて誘導しなければなりません。歩く距離は一日10キロのケースもあり、ホワイトアウトが起きたら視界が悪くなって労働環境は非常に悪くなります。その課題を解決するのが、人を検出して作業をする自動除雪機のアイディアです。

歩道除雪機用のリアルタイムで人を検出できるシステムで、ホワイトアウトのような天候が悪い状況でも高い精度を確保できます。除雪機にLiDAR、RGBカメラ、サーモカメラを設置することで、人を検知し、除雪機との距離を計算するアラートシステムです。人が20m以内に入るとオペレーターに通知して、10m以内になるとアラートを表示します。

除雪機にGPSアンテナとリアルタイムキネマティックを設置することで、センチメートル単位の自己位置推定能力の向上も実現しました。安全性、精度の高さが安定して一般化すれば、夜間の除雪作業の人手不足や安全性の問題も解決できます。

参照元HP:リサーチタイムズ|【動画公開】AIを活用し、安全な除雪作業を目指す(https://www.hokudai.ac.jp/researchtimes/2023/02/ai.html)

ユーザーの報告にAIを用いた積雪予報

積雪の状態は、降雪量や雪質だけで決まるわけではありません。積もった後の雪の密度の変化や、融雪する量まで考慮する必要があるほか、積もった環境によって状態が変化します。そのため、できるだけ多くの観測データがなければ、予報の精度が低くなってしまいます。

そこで、天気予報アプリのユーザーから寄せられる報告を活用し、さらにAIを用いて積雪を予報。
たとえば、「みぞれ」「チラチラ」「ドカドカ」「吹雪」といったユーザーからのリアルな天気報告を雨と雪の境目の判別に利用。大雪時には積雪状況の提供を呼びかけて情報を得ています。

ユーザーからの天気報告と独自の観測網を処理し、そこに過去の積雪状況データを取り入れたAIを用いることで、より高精度な積雪予報を実現しています。

参照元HP:Weathernews|1kmメッシュの高解像度で積雪予報・積雪実況データをAPI提供(https://jp.weathernews.com/news/38430)
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おすすめの除雪機メーカー 3選

除雪機専門メディア「雪ブンブン」では、主要な除雪機メーカー9社・125製品をとことん調査。調査で浮かび上があった各メーカーの特徴をピックアップ!どのメーカーの除雪機を選べばよいのかわからない方は、ぜひ参考にご覧ください。

高性能で馬力のある
除雪機のラインナップが豊富
国産
メーカー
ワドー
  • ホンダの除雪機製造をはじめ、クボタ・ヤンマーの除雪機をOEM製造。品質の高さは同業者からも支持されている老舗メーカー
  • 自社で開発・製造をしているため、扱いやすさを追求した除雪機が魅力!
こんな人におすすめ
  • 馬力があり、扱いやすい除雪機が欲しい
  • たくさんの除雪機の中から、自分にあうものを探したい
対応タイプ
小型
中型
大型
2万円~10万円代の小型で
低価格な除雪機が豊富
中国
メーカー
ハイガー
  • 中国の自社工場で一括生産体制を組むことにより、安価を実現!
  • 楽天・ヤフー・AmazonのECサイトで手軽に購入が可能
  • 日本語の説明付きで、組み立ても簡単
こんな人におすすめ
  • 収納に困らないコンパクトな除雪機がほしい
  • ちょっとした庭先の除雪やママさんダンプより楽に除雪したい
対応タイプ
小型
中型
大型
運転時の騒音を軽減する
静音モデルの除雪機が豊富
国産
メーカー
ヤマハ
  • 手押しの小型から中型の除雪機で、静音モデルタイプを展開!
  • エンジン部を囲い込んで騒音を低減する静音設計だから、深夜や早朝の除雪作業にも◎
こんな人におすすめ
  • ご近所さんが隣接しているので、運転音が軽減された除雪機が欲しい
対応タイプ
小型
中型
大型
今回調査した
除雪機メーカー
ワドー(和同) / ホンダ / クボタ / ヤマハ / ヤンマー / 工進 / フジイコーポレーション / ハイガー / ヤナセ
選定基準

「除雪機 メーカー」とGoogle検索、表示された上位9位のメーカーをピックアップ。(2022年1月7日調査時点)
・豊富なラインナップ…9メーカーのうち、最も除雪機が多かったメーカー(ワドー(和同))
・低価格…9メーカーのうち、最も低価格の除雪機を多く扱っているメーカー(ハイガー)
・静音モデル…9メーカーのうち、最も静音モデルが多かったメーカー(ヤマハ)