空き家の除雪も行うべき?積雪を放置するリスク
空き家の積雪を放置するとさまざまな問題が発生する可能性があります。ここでは、空き家の除雪を行わない際のリスクについて詳しく紹介します。
空き家の除雪が必要な理由
空き家は地震に対する備えはできていても、積雪や雪害に対する対策がなされていない場合が多いという現状があります。そのため、積雪により、空き家が倒壊してしまう事故が多発しています。雪は見た目より重く、1m3当たり100~300kgほどあるとされます。空き家の積雪を放置することによって屋根が重さに耐えられず倒壊してしまう可能性があるのです。
建物は多少の積雪にも耐えられるように建てられていますが、人が住んでいない空き家は人が住んでいる家とは異なり室内の温度と外気温はほぼ同じです。室内温度が屋根に伝わり屋根の雪が解けることもなく、短期間であっという間に積雪してしまいます。あまり積雪を放置せず、定期的に対策するようにしましょう。
空き家の除雪をしないとどんなリスクがある?
道路に雪が落ちて通行の妨げになる
空き家に積もった雪が敷地内の木や屋根から敷地内に落ちる分には問題ありませんが、敷地外に落ちてしまうと周りの迷惑となる可能性が十分あります。目の前の道路に落ちてしまえば、車両や道行く人の通行の妨げになることも。
また、豪雪地帯では毎日の雪下ろしや除雪が必要です。空き家から雪が落ちてしまうと、近所の方の作業の邪魔になったり雪かきが終わったエリアにまた雪を積もらせてしまったりする原因になりかねません。近隣住民からのイメージも悪くなってしまうでしょう。
落ちた雪で物損が起きたりけが人がでる
空き家の除雪を行わないと、落雪によって物損が起こる可能性があります。雪の塊にはかなりの重さがあり、屋根などの高所から落ちて何かに当たると硬いものでも破損させてしまうことも。起こり得る物損の例には、「屋根から落ちた雪が物置を潰す」「室外機や自転車が壊れる」「カーポートに穴が開く」「自動車を凹ませる」などがあります。
また物だけでなく、通行人に落ちてしまえばけがを負わせてしまうリスクもあるでしょう。例えば高齢者や小さい子どもに落ちてしまった場合、命に関わるけがを負うリスクがあります。空き家が歩道に近い位置にある場合は、空き家の雪下ろしは特に適切な対応を行うべきです。
損害賠償請求をされる可能性がある
落ちた雪が他人の所有物を破損した場合、損害賠償を請求される可能性があります。民法第717条3項には、屋根からの落雪などで損害が発生した場合、その落雪事故を起こした建物の所有者にあると明記されています。
つまり、雪によって事故が発生してしまうと空き家の持ち主が賠償責任を負う責任があります。空き家の雪下ろしをしていないという人は、今後落雪のリスクがないか特に注意が必要です。
家屋の倒壊
長い間積雪を放置された空き家は倒壊の危険性も増大します。特に老朽化した空き家は、溶けた雪によって痛んだ家屋の木造部分など放置することで、さらに劣化が進行していくでしょう。
適切に除雪されることなく、隣家や近隣地域に危険を及ぼす恐れがある空き家は「特定空家」に指定されてしまう可能性があるため注意が必要です。
特定空家とは?
2015年5月26日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家等対策特別措置法)」によると、適切に管理されていなかったり倒壊の恐れがあったりする空き家は「特定空家」に指定されます。雪止めの破損など不適切な管理により空き家から落雪が発生し、歩行者の通行を妨げている場合は、特定空家に指定される可能性が高いです。
特定空家と認定された建物の所有者は、行政の助言や指導に基づいて事態の改善をしなければなりません。特定空家に指定される要因となる不適切な箇所を改善すれば、特定空家から解除されます。
状況を改善せず放置し続けると、固定資産税の特例が適用されなくなる可能性が出てきます。固定資産税の特例とは、不動産にかかる固定資産税の課税標準が最大6分の1まで減額される減税措置です。特例措置が適用されるか否かによって固定資産税に大きな金額差が生ずるため、注意が必要です。
また、行政からの指導・勧告を受けたにもかかわらず改善しなかった場合、罰金が科せられる可能性もあります。
空き家の除雪について
除雪が必要かどうかの確認方法
「空き家の除雪が大切だとわかってはいるけれど、除雪が必要なタイミングがわからない」という方は多いでしょう。「雪が積もる度に空き家を確認しに行くのは面倒…」という方もいるのではないでしょうか。
そこで、防災科学技術研究所が公開している「雪おろシグナル」の活用がおすすめです。
雪おろシグナルでは、確認したい地域に積もった雪の重さを見ることが可能。地図をクリックするとその地域の積雪重量が表示されるため、空き家のある場所にどのくらいの重さの雪が積もっているかを確認できます。また、色分けされた危険度も表示されます。
さらに、雪下ろしをした日を入力することで、空き家の屋根に積もった雪の重さをリアルタイムで知ることも可能です。
屋根の除雪は注意が必要
屋根の雪下ろしをする際は、天候に注意しましょう。たとえば、気温が高い日(0℃以上)や日射の強い日は、屋根の底面にある雪が解けるため、滑りやすくなっています。また、風の強い日や吹雪の日の雪かき作業は危険です。屋根の上でバランスを崩す恐れがあるほか、視界が悪くなることで足を踏み外す危険もあります。
なお、空き家の屋根の雪下ろしは必須です。居住中の家なら、「地域によっては屋根の雪下ろしが不要な状況」となるケースもあります。しかし、空き家は古く、現代の建築基準とは異なるうえ、老朽化しています。そのため、現代の建物のように積雪に耐えられるとは考えにくいでしょう。また、人が住んでいないことから、居住している建物とは室温も異なります。
空き家の屋根に雪が積もったら、天候等に注意しながら除雪作業を行いましょう。
屋根に1m近くの雪が積もったら行う
建築基準法には「1mの積雪の荷重に耐えられること」という決まりがあるため、屋根に1mほどの雪が積もったと思えば雪下ろしするようにしましょう。また、雪がせり立っている状態(雪庇)になっている場合は一気に落雪する可能性があるため、早めの雪下ろしをおすすめします。
物置や車庫は住宅より耐久性が劣ることから、雪の重みで倒壊する可能性が高いので気を付けましょう。
雪かき専用道具や除雪機を利用する
雪があまり降らない地域では専用の道具を用意する必要がありませんが、多く降る地域は雪かき専用道具があると作業が圧倒的に楽です。選ぶポイントは積雪量に合ったものを買うこと。
雪かき専用アイテムは早めに売り切れてしまう場合もあるため、雪の予報が出たら速やかに除雪ほうきや雪はね、スノースコップ、スノープッシャー、スノーダンブなど必要な道具を揃えておくようにしましょう。除雪機を購入・レンタルすることも可能です。
業者に依頼することも可能
自身で雪かきをすることが難しい場合、業者に依頼することもできます。業者に依頼するには、「年間契約」と「その都度依頼する」の2パターンがありますが、それぞれメリット・デメリットがあるため自分たちの家庭に合った方法を選ぶようにしましょう。
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